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2010年06月02日

日本口蓋裂学会2010 その1 行ってきました

 日本口蓋裂学会の学術集会が北トピアにて開催されましたので、今年も参加してまいりました。時間が許せば毎年参加している学会です。

07konguresubag.jpg
 
 事前に送付されてきている抄録集と、右のカバンは現地で配られるコングレスバックです。各種参考資料や抄録を入れるのに便利なように配ってくれるのですが、今年のものは大変良いデザインだと思います。
 
 材質的にも低価格で作成されていることが予測できるのも、無駄使いしていないことがわかり好感を持ち、その後も使える色形であってうれしいです。

 さて、口蓋裂というものについて、よく知っている方もあるでしょうし、そうでない方もあると思います。基調講演の抄録から一部抜粋いたしますと

 「口唇口蓋裂の発症は遺伝子要因や環境要因の両方が関与していると考えられている。このように両因子が関わっている疾患の代表は「ありふれた病気(Common Disease)とよばれる疾患で、一般的に見られる糖尿病、アトピー、高血圧、心筋梗塞などを指す。唇裂・口蓋裂は先天性奇形としては最もよくみられる疾患であるが、「ありふれた病気」とはいえず、「比較的ありふれた病気(Sub−Common disease)」といってよいであろう。発症率は500人から1000人に一人である〜」とのこと。

 世界的に見ると日本人にはやや高率に発症していることも知られております。出生時に口唇、口蓋、軟口蓋などが適切に癒合していない症状を主に示します。適切な時期に手術と矯正、発声練習などを行うことで相当範囲が回復できる疾患だと言えると思いますが、個々の症状による差異が多くあり、簡単には説明が困難だといえます。

 01kougairetumeinhoru.jpg

 口演会場です。参加者は形成外科、口腔外科、小児科、耳鼻咽喉科、矯正歯科、補綴科、音声言語療法などなど、多岐に渡っています。医師・歯科医師、言語療法士などがチームで取り組むことで長期経過の中での総合的な質の向上を目指しています。

 朝はまず一般口演を3題拝聴。昨年も多く出ましたPNAMに関する1題、ついで横浜市大グループの報告で最近の上手な手術の予後に関して、最後は鼻の形と手術時期に関する考え方についてでした。

 口蓋裂の難しいところは個々の個体差も著しいことだけでなく、手術による侵襲がその後に大きく影響する場合があること、手術の術式のみならず術者の技術によって差異が生じること、手術のタイミングについての見解の統一はまだまだ難しく、総合的に考えてまだ試行中の部分があることなどです。

 どんな手術でも傷を作ります。その傷は「瘢痕収縮」という反応の原因となり、成長の阻害の一因ともなります。
 他方、形態が異常なまま成長をしようとすると、その形を補償しようとして生じた習癖などによりやはり成長が阻害される場合があります。
 手術の傷の大きさは大きく育ってからのほうが相対的には小さな問題となるのですが、その間形態の不具合が生活上の障害の一因となったり、成長阻害の要素となる場合にはその問題のバランスを考慮しなければなりません。

 ですから、「手術をしたら副作用が認められたので、できるだけ手術は後回しにしたほうがいい」というような発表に対しては「それなら、いつがいいんだ?本当に手術時期が問題なのか?術式や技術についての検討はどうなんだ??」という質問が出てきます。また、患者さんだけでなくご家族の方の心理的な面も考慮し、将来についての説明も行いながら徐々に治療を進めなければならないので難しい問題が多くあるものです。

 日本はまだまだ広く、医療技術の地域格差、情報不足も否めません。公的支援を医療・福祉の方面にもう少し回せないものだろうかと思います。

 続いての特別口演についてはまた後日

 


 
posted by Orthodontist Hajime FURUKAWA at 18:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会・展示会・講習会
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